虫の目レンズ・筒極細タイプV/M13・M12規格各種ミニレンズの比較評価


虫の目レンズ・筒極細タイプVにはM12/P0.5とM13/P1.0の2種のミニレンズが使用出来る様になっています。
このタイプVのシステムは、CCTVレンズを使うタイプB、タイプC、タイプS(SC)などに比較して画質は見劣りしますが、
軽量であること、安価であることなどから出荷ペースは高い状態を維持しています。また、ホーム・ハイビジョンカメラ
が小型化し、これをサブカメラとしてプロカメラマンの方も結構使われる環境になってきている事、タイプVを装着した
時の重量バランスが良く、画質が劣るとはいえ、ハイビジョンであれば実用に耐えるレベルであることから、普及の
ペースが加速しているのが実状です。こんな中でタイプV購入問い合わせの方、または購入者からどちらを選べば良いのかと
の問い合わせが多くあります。何時までも結論を出さないで、どちらでも選択できる様になっておりますので
お好きなようにとは言えなくなって来ましたので、Kochanがミニレンズ各種(全9品種)を一気に比較評価しました。
 
今回評価したミニレンズは、レンズの種類としては一番多いと思われるM12mm(P0.5)系のもの、実際にはワテックが使用しているM13mm(P1.0)系の2系統です。
ここでM13P1.0のミニレンズをワテックM13レンズ、M12P0.5レンズの場合はメーカーも多いように見えますので単にM12レンズと表現いたしました。
撮影機材はソニーHDR-HC3(ホームハイビジョンカメラ)と虫の目レンズ・筒極細タイプVの組み合わせ、画像評価
ビデオ映像を後から静止画キャプチャーした物を使用しました。
お勧めの結論タイプVはM13用を購入、ワテックのレンズを使うのが現在では最も良いです。
以下に、評価結果を順に説明します。
ミニレンズ総合評価結果

レンズ評価

WD20mm

種類

外径特徴

画角

周辺減光

中心解像

中心部色ズレ

周辺解像

周辺部色ズレ

コントラスト中心・周辺

総合評価

M13f1.9

○・△

M12f1.9

細(短)

×

×

△・○

×

M12f1.24

○・△

M12f2.2

太(2段)

×

×

○・○

×

M13f2.5

○・△

M12f3.6

細(短)

×

×

○・○

×

M13f3.8

×

○・○

M13f6.0

細(短)

○・○

M12f4.4

細(長)

×

○・△

WD35mm

M12f3.6

細(短)

×

×

△・△

×

M13f3.8

○・△

M13f6.0

細(短)

△・△

M12f4.4

細(長)

×

△・△

M12:P0.5 

多くのCCDカメラに使用

M13:P1.0 

ワテックのCCDカメラに使用


表のWD20mmとWD35mmとは、レンズ前面からフォーカスを合わせている被写体までの距離(ワーキング・ディスタンス)を現しており、20mmと少し離した35mmの2通りで評価しています。焦点距離3.5mm以上のレンズの使い方は広角独特のパースペクティブな撮影と言うより、標準に近い画角で少し離れてクローズアップする撮影によく使いますので、WD35mmでの評価も行いました。(アリの顔写真などではf6mmのレンズでもWD7mmで撮影することもありますが、被写界深度はその分浅くなります)

逆に言えば、2.5mm以下の超広角レンズではWD10mm前後での評価が必要だったのですが、小型高精細のテストチャートの準備が無かったので、今回は仕方なく、テストチャートパターン枠20mm角に合わせてWD20mmで実験致しました。

総合的評価として、M12mm系は周辺の色収差が目立ちすぎ、周辺減光が多い。これに対して、ワテックのM13mmの場合、周辺色収差はほとんど目立たないがボケとなる(嫌みがない)。スペック以上にイメージサークルが大きく周辺減光が少ない(タイプVシステムと瞳設計の相性が良い)。中心解像度とコントラストはどちらのレンズもほぼ同等でした。

以上をまとめると、ワテックM13mm系が全体的にバランスが良く、常用するならM13/f1.9mm。小さな被写体をクローズアップするとか、テレセントリックな画像が必要なときにM13/f3.8mm またはf6.0mmに交換することで十分要がたせるという結論になりました。

評価画像

 
WD=20mm                      

上図は撮影評価環境を概略示したものです。被写体は自作A4チャートを使用。これを斜め撮影しています。ここで紹介します例では、画像中心までの距離20mmと35mmにピントを合わせています。斜めあおり角はそれぞれおよそ50度と60度となります。

M12/f1.24mm

このレンズは今回のテストした中では最も焦点距離が短く、広角ですが、周辺減光があるため、これを嫌ってカメラでズームアップを行うと、結果的にM13/f1.9mmより画角が狭くなります。

 

 

 

 

M13/f1.9mm

マイクロ広角レンズ・タイプVとして最も成績が良く、バランスの取れたミニレンズと言えます。

M12/f1.9mm

 

 

 

 

M13/f2.5mm

M12/f2.2mm

 

 

 

 

M13/f3.8mm

M12/f3.6mm

M13/f6.0mm

M12/f4.4mm

 

 

 

WD=35mm

M13/f3.8mm

M12/f3.6mm

M13/f6.0mm

M12/f4.4mm

 
 
※ここでの評価はM12レンズが悪いという評価ではなく、虫の目レンズに使用した場合、M13(特にf1.9)のレンズが使用目的に一番良いのではないかということです。